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ソラリスの時間

昭和(1960-80年代)の懐かしいモノ、ヘンなモノ満載!!! 脱力系 or ココロトキめくノスタルジックワールドへご案内〜!

人の心を映す鏡、神としての寅さん! じゃりン子チエのテツとの比較も〜私の「男はつらいよ」寅さん考(6)

本日は、昨年から何回か書いてきた「男はつらいよ」寅さん考の締めの回になるかと思います。
総まとめというには非常に浅くてとっ散らかった内容になりそうなんですが、寅さんを見ていて感じたことをメモ風に書いておこうと思いマス。





○ 寅さんは、神のような存在

寅さんはまるで神様のような存在と言うと、寅さんを実際以上に美化しているようにも聞こえますが、そうではない。
と言うのも、そもそも神様自体が人間に幸福をもたらす存在であるとともに、時に災いをもたらす存在にもなり得るという両面があるから。アニミズム的な考え方を元に、神=自然と置き換えると非常にわかりやすいかと。
生命の源であり、私たち人間の心を癒してくれる山や海、川といった大自然は、時として大災害をもたらすことがある。でも、だからといって、私たちは自然そのものを決して嫌いになることはない。

厄介者として扱われ、また実際に何かとトラブルメーカーになりがちではあるけれど、憎めぬ人の良さや人情味があり、知り合った人々の心を幸せにする寅さんは、まさにある種、映画の中で生き神のような存在として描かれているんじゃないかと思える節があります。

ということは・・


○ 寅さんは、それを見る人の心の現在地を映す「鏡」のような存在でもある

・・ということでもあるよな、と。

そういえば神社に行くと御本殿側からこちらに向くように「鏡」が置かれていることがあったりしますが、あれって自然にそこに映った自分の顔を拝むようになっていますよね。
あなた自身の今の姿を目を逸らさずに見なさい、と神様に言われているようで緊張する時もありますが、それと同じように「男はつらいよ」という映画を見てどう感じるかで、自身の心の状態、現在地がわかる、そういう映画なのではないかと感じています。

寅さんに対して「自分の身近に実際にこんな人がいたら絶対に嫌だ」というコメントをyoutubeなどでもいくつも目にしたことがありますが、全くわからないこともないと思う反面、「短絡的にそう結論づけちゃうんや」「若さゆえに、他人事としてしか捉えられないんかもしれんな」と思う。
実際、かく言う私自身も若い頃は「男はつらいよ」=中高年が観るダサい映画という意識があって、真剣に見ようとしなかったので、あの頃の自分は今にも増して本当に幼くて未熟だったなあと思いますもんね。

「男はつらいよ」は自身の心の豊かさ、成熟度みたいなものを測れるバロメーターとなる作品で、そういう意味でも、寅さんはやはり自分を映す鏡であり「神様」的な存在のように思います。

寅さんは実在人物ではありませんが、現実の社会においてかつてはゆるく黙認されていた寅さんのようなグレーゾーンな存在や行為までもが認められなくなってきている昨今。
この国の社会は、今の現在地で本当に良いのか?と問いかけている作品のようにも感じます。




それはそうと、「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」の中で描かれている有名な「メロン騒動」の一幕について。
この場面に関して、当時、同じ東京でも新宿の映画館と葛飾の映画館とではお客さんの反応に違いがあったそうです。

新宿では見ているお客さんが大笑いしているのに対し、葛飾では「寅さんが怒るのも無理はない!!」と同情的な反応が多かったそう。(ちなみに私は、この場面では全くもって笑えず、寅さんが拗ねる気持ちわかるわ〜と思って見ましたよ。葛飾派ですかね)確か、山田洋次監督が新聞のコラムか何かで書いておられました。

見ている人がどの立場で、どの目線の高さで見ているかで、抱く感想が変わってくるんですね。こういうところも寅さんの面白さだと思います。



○ 東の寅さん、西のテツ 〜「じゃりン子チエ」のテツとの比較

「男はつらいよ」と同じく、昔は好きではなかったのに、この2年ほどの間ですっかり見直すことになった作品に「じゃりン子チエ」があります。

「じゃりン子チエ」に出てくるチエの父・テツは、決してカタギとは言えない点で寅さんとの共通点はあるものの、寅さんとはまた違った趣のハチャメチャキャラで、そのドライブのかかり方みたいなものに東西差があるような気がします。
個人的には私が「西」の人間のせいか、作中で繰り広げられる会話のテンポや間合い、ちょっとした言葉の選び方みたいなものは「じゃりン子チエ」の方がどちらかというとナチュラルに耳に入ってきます。
対して「男はつらいよ」の一連のやりとりには、メリハリをきかせた「様式美」のようなものを感じます。

例えて言うなら、日常会話の延長のように聞こえるアドリブの効いたやすきよの漫才と、作り込まれたドリフのコントとの違いのようなものかな。(この例え自体が相当に古いですが(笑))
この感じ方は人によって差があるとは思いますが。

あと、「男はつらいよ」の方は寅さん以外でアホなことをやるのはせいぜい源公ぐらいですが、「じゃりン子チエ」はお酒が入ると途端に人格が豹変してメチャクチャをする「お好み焼き屋のおっちゃん」はじめ、テツ以外の脇役キャラクターもそれぞれにクセが強くて、そのあたりが大きく違う気がしますね。
生き方が不器用なキャラクターは、どちらでも登場しますけどね。




「じゃりン子チエ」の中で印象的なエピソードはいくつかありますが、私は比較的地味ながら、テツが鑑別所で一緒だった仲間?たちと開く同窓会のエピソードが強く印象に残っています。

テツからハガキが届いたもので、みんな嫌がらせを恐れて渋々出席しているものとチエちゃんは思っていたのですが、テツと久しぶりに再会したおっちゃんたちがみんな心から喜んでいるのを見て、チエちゃんは意外に思うんですよね。
このチエちゃんの、父親に対する貴重な「気づき」のワンシーンがとても印象に残っています。

そしてこういうところが、寅さんとテツとのわかりやすい共通点でもある。
寅さんもテツも、周囲をいつも巻き込んで少なからず迷惑をかけているにも関わらず根っこの部分では愛されているということ。

寅さんがそれを見る人の心の現在地を映す「鏡」のような存在であるというのは、「じゃりン子チエ」にも当てはまる気がして、観ることで心癒されつつも、自分を知れる作品であることは一緒ですね。
何気ないけど懐の深い作品なんですよね、どちらも。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ああ、結局うまくまとめきれんかったわ〜(苦笑)

でも色々と迷いや葛藤のある日常の中で、寅さんを観ることで少しだけ気持ちがほぐれるのは確かで、これからも寅さんを人生で何度も見ることになるんだろうなあと思います。

そしてこれは私の本当に個人的な実感ではありますが・・寅さんを観ることでしばし現実から逃避して癒されるという側面がありながら、その一方で、自分の不甲斐なさを直視しつつ愚直に地に足をつけて生きていくことの尊さを改めて教えてもらった気がします。
近年になってこの映画を見直すことになったのはあながち偶然とも言えず、自分の人生のバイオリズムとも合ってたのかもしれないな〜。

数年前、確か谷ゆきこ先生の「バレエ星」の記事を書いた時だったか、「もし昭和がどんな時代だったかと今の若い人に問われたら、超展開の谷ゆきこ先生の漫画を勧める」みたいなことを書いた気がしますが、「男はつらいよ」を全作品見た今となっては、まずはこの映画を見なさいと。多分そう答えるでしょうね。


以前、とある場所で一緒になった方が、山田洋次監督の作品では1970年に公開された「家族」という作品も素晴らしいので是非一度見てくださいとおっしゃっていました。まだ見ていないので見ようと思います。
「じゃりン子チエ」についても、またいつか書いた方がええんかな〜?

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Re: 優しいひとなんですよね(*´ω`*)
home in my shoesさん、

>見栄っ張りで単細胞な困った人ながら、望まれなかったかもしれない自分の出生の傷が癒えず、自分を受け入れてくれる女性・家庭を追いかけて追いかけての悲しさが裏側に

私にはこの視点が欠けていたなあと、今思いました。第2作で寅さんの実母が登場して、すったもんだありながら最後は軽口を叩き合うライトな感じながらも心を通わせることができた風になっていたために思い至らなかったのですが、根っこでは生い立ちが尾を引いていたのでしょうか。
そう思うとまたせつないですね。ああ、でもそう捉えると、寅さんのマドンナに対する惚れっぽさとか逆にナイーブさなどにも納得がいきます。甘えたくても甘えられなかった子供の頃の畏れの裏返し、ほんと、そうなのかもしれないです。

そうですね、帰る場所が家があることで救われている気がします。寅さんがいつまでも優しいピュアな人でいられたのはそのお陰ですね、きっと^^
[ 2022/06/20 03:40 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
非公開コメントさん、コメントありがとうございます。
気になっていたんですが、そういう感じだったんですね。
今は落ち着かれたということで、安心しました^^大変だったでしょうけど、良かった良かった♪
[ 2022/06/20 03:04 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
あめしすとさん、今、BSで毎週土曜日に寅さんやってるんですよね、確か^^
うちはBS映らないので見られないんですが、今どの辺りまで行ってるんだろう。

>純粋な心の持ち主のあらわれなのでしょうかね
>こういう人が傍にいたら楽しいだろうなぁって思います

毎回登場するマドンナの皆さんは、まさにあめしすとさんと同じような気持ちで寅さんを見ていたんでしょうね。
だから悩みや迷いを抱えたマドンナさんたちがひととき心を癒されたんだろうなあ。
「寅次郎相合い傘」は、男はつらいよの中でもベスト3に入る好きな作品です。また見よう♪
[ 2022/06/20 02:49 ] [ 編集 ]
優しいひとなんですよね(*´ω`*)
寅さん映画を全部見ようとして6作目で止まったままの私なのですが、見栄っ張りで単細胞な困った人ながら、望まれなかったかもしれない自分の出生の傷が癒えず、自分を受け入れてくれる女性・家庭を追いかけて追いかけての悲しさが裏側にあるように見えてなりません。

基本、知り合った人とは仲良くしたい、また困っている人には手を貸したいと気のいい善人ですもん。それは、甘えたくとも甘えられなかった子供の頃の畏れの裏返しのようで。

それでも、さくらちゃん・とらやが在って本当に良かったですよね。それでも、それでも帰るところがあるんですから。
[ 2022/06/19 22:50 ] [ 編集 ]
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[ 2022/06/19 18:43 ] [ 編集 ]
こんにちは
土曜日の夜は、テレビで寅さんやっているので、毎週では
ないですが観ています。
メロン騒動覚えていますよ~
動画観て、また笑ってしまいました(^▽^)
寅さんらしいですね
純粋な心の持ち主のあらわれなのでしょうかね
こういう人が傍にいたら楽しいだろうなぁって思います

[ 2022/06/19 18:22 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
へろんさん、

>見る人の顔をうつすことで、その人の中にも神様がいる、みたいな意味もあるかと考えたり……。

これは私も、そういう意味なんじゃないかと思っています^^ つい外で祀られている神様に神頼みしてしまいますが、神様って人の心の中にもいるんでしょうね。なので自分を信じるということはとても大事なことだと思うのですが、これがなかなか難しかったりするi-201

メロン騒動の反応の違い、面白いですよね。そうか、喜劇と見るか人情劇と見るかの違いというのは思いつきませんでした。
まあ、でも寅さんに対して笑うという反応も、寅さんに対して親しみの気持ちを感じているからこその笑いで、家族や親しい友達のアホな行為を笑うのと同じような気持ちで笑っているのもあるのかもしれませんもんね。
私はどうも寅さんに近い目線で見ていることが多いみたいで、つい同情的になってしまいます^^;
あと、笑いのツボの違いもあるんでしょうかね〜。
[ 2022/06/19 14:37 ] [ 編集 ]
こんばんは。

>それを見る人の心の現在地を映す「鏡」のような存在
これって神様そのもののことでもありますよね。神様もまた人の心を反映した結果、あのような位置づけにあるわけで(実在するか、したとしてどのような存在かは別にして)。
神社の鏡って太陽を表しているとかいろんな説があるようですけど、見る人の顔をうつすことで、その人の中にも神様がいる、みたいな意味もあるかと考えたり……。

メロン騒動で新宿と葛飾で反応が違うって意外で面白いですね。「喜劇」と見るか「人情劇」と見るかの違いでしょうか。私もどちらかというと葛飾派ですね(^^;)
[ 2022/06/18 23:28 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
violaさん、コメントありがとうございます〜!

>私も若い頃は好きじゃありませんでした。
>今は昭和の風情が新鮮で、そういう意味で好きです。

私もそうですが、今になって見るといいなあと思う、そういう人多いかもしれないですね。
自分もその中で育ったはずなのですが、今改めて見ると懐かしいと同時に、昭和の風情は本当に新鮮に感じます。

じゃりン子チエ、お好きだったんですね^^テツの鑑別所時代の同窓会の話は、じゃりン子チエのエピソードの中では穏健?な方ですからね〜。私も、昨年サンテレビでやってた再放送を見るまでは覚えていませんでした。こんな風にして気づいて成長していくんやな〜と、チエちゃんを見守る視線で見ている自分もまた新鮮で。
寅さんもじゃりン子チエも、大人になってから見るとやっぱりひと味もふた味も違いますね。
[ 2022/06/17 01:51 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
ぢょん でんばあさん、じゃりン子チエがお好きだったんですね〜^^
同窓会の回、覚えておられるんですね。じゃりン子チエの中ではどちらかというと地味な話かと思うんですが良い感じの話ですよね。

おばあはんのそのセリフ・・覚えてません〜i-201
でも、おばあはんは無敵の存在で、もしかしたら一番好きなキャラかもしれないです。
名言と言われて今パッと思いつくセリフは出てこないんですが、チエちゃんが「ウチはただの不良少女やない、テツの子供やで」みたいなことを言ってたのは覚えています。
再放送で見逃してる回もあるし、またDVDか何かで全話見てから書かんとあきませんな〜(笑)

[ 2022/06/17 01:29 ] [ 編集 ]
こんにちは(^O^)

「男はつらいよ」
夫が大好きなので何作か観ています。
私も若い頃は好きじゃありませんでした。
今は昭和の風情が新鮮で、そういう意味で好きです。

じゃりんこチエは面白くて大好きでしたが、
同窓会の話は・・・
全く覚えてないです!忘れています(汗)

寅さんもテツも、根っこの部分は愛されている。
なるほど!
そういう人はみんな魅力的ですね。

[ 2022/06/16 14:38 ] [ 編集 ]
こんにちは~。

じゃりン子チエの記事も読みたいです~。同窓会の回も覚えていますし、名言がいろいろ出ているので…。

私はやっぱり、おばあはんの「ひもじい 寒い もお死にたい 不幸はこの順番で来ますのや」かな。
[ 2022/06/16 05:54 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
たいやきさん、

>それに対して、寅さんは大人に向けた物語です。
>だから、多分どこかにいそうな雰囲気です。

喜劇なので面白おかしくオーバーにやっているところはありますが、確かにリアルでもあると思います。
寅さんの持つコンプレックスやひがむ気持ち、似たような気持ちは私にもいくらかありますもん。だから私などはこの映画を見るときは、さくら達よりも寅さんに近い目線で見ていることに自分でも気づいています。

山の手と下町の違い、これはあるでしょうね。個人差もあるんでしょうけど。人生で傷ついた経験によっても感情の表し方が違ってくる気がしますし。人間ってややこしいですね^^;

[ 2022/06/16 00:43 ] [ 編集 ]
何だか記事というより「想い」という感じで、エッセイのように読ませていただきました。

近くにいたら絶対に迷惑な人というのはアニメのキャラクターに多い気がします。
アニメは子供に分かりやすく極端ですから。
例えば、ドラえもん。
冷静に考えれば、ドラえもんがネズミを怖がるシーンはもはや災害です。
「地球破壊爆弾」とかポケットから出すときもありますから。
そんなものが未来のデパートで売っているのも迷惑ですが。

それに対して、寅さんは大人に向けた物語です。
だから、多分どこかにいそうな雰囲気です。
ひがむところがいいんですよ。
本当はそれぐらいみんなひがんでいるのに、表に出せない。
それを代わりにやってくれているんです。
でも下町だから表に出せるんですよね。
僕は東京でも山の手の生まれ、育ちです。
山の手はよそ者の集合体だから、本音が出しにくいのです。
[ 2022/06/15 20:49 ] [ 編集 ]
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マナサビイ

Author:マナサビイ
昭和40年代生まれ。大阪在住。
前身のブログを始めた2007年より一貫して昭和のカルチャーやプロダクト、個人的な想い出などのテーマで書き続けています。
ブログの内容からか男性と間違われる事が多々ありますが、女性です。
小々石 曲允子の名で、昭和文化愛好家、神秘の杜ナビゲーターとして取材執筆も行っています。

旅先でのフィルム写真の撮影、神社仏閣や古代史などのトピック、野球観戦、2時間サスペンスの再放送視聴なども好き。

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