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ソラリスの時間

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国民的映画となった、その鍵は第3作と第4作?!〜私の「男はつらいよ」寅さん考(2)


今年の1月末に、手始めにマイベスト3作品の発表から!〜私の「男はつらいよ」寅さん考(1) というブログ記事をUPし、「男はつらいよ」の中で私が特に好きな作品を挙げました。
間が空きましたが、今回から何回かに渡って私なりにこの作品を分析してその魅力などをプレゼンしてみようと思います。
ご興味がある方は、どうぞお付き合いくださいマセ!!


さて今回はシリーズ初期作品の再評価で、「男はつらいよ」シリーズおなじみの定番・定型シーンの多くが生まれたのは意外にも第3作・第4作の森崎東監督・小林俊一監督の作品だったというもの。
第3作・第4作は、山田洋次監督が監督から外れたシリーズの中でも稀な作品です。

もちろん、例えば映画冒頭の恒例の「夢オチ」シーンが定着したのは第9作「柴又慕情」からであり、また冬は温暖な所、夏は涼しい所へ向かう寅さんの旅のパターンや、青空/凧揚げシーンによるラスト近くの場面転換などが定番化したのは第12〜第14作頃といったように、全ての定型が第3作・第4作で生まれたものではありません。
が、この2作品から始まったあるいは確立されたと見られるパターンは気づくと意外に多く、その後延々と続くシリーズのひな形的な役割を果たしているとも言えるのです。

どのような点からそう言えるのか、簡単に見ていってみましょう。
まず、最初に第3作から始まった、寅さんの「恒例・定番」とは?




(松竹チャンネル/SHOCHIKUch)


第3作「男はつらいよ フーテンの寅」 1970(昭和45)年公開


● 今作からマドンナが地方出身もしくは地方在住者という設定に。柴又以外のメイン舞台が地方の町へ

第1作・2作のマドンナはそれぞれ、柴又帝釈天の御前様のお嬢さんと寅さんの学生時代の恩師のお嬢さんで、つまりは旧知の地元の女性だった。
が、第3作からは、寅さんが旅先の地方で偶然知り合った女性、あるいは地方から上京している女性がマドンナとなる。

また、第1作・2作でも奈良・京都が柴又以外の舞台として採用されてはいるが、第3作以降は典型的な観光都市というよりも、さらにローカル色を強く感じられる地方の町や温泉地などがロケ地となることが定番化する。


● マドンナに惚れた寅さんが「カタギ」になることを夢見るのはこの回から

シリーズ中には、マドンナに入れ込むことで寅さんが自分もカタギになりたい、なっても良いと考える話が何度か出てくる。真剣さ・切実さの度合いは各話によって差があるが、この第3作は寅さんがマドンナの営む旅館で働き、カタギになることを夢見た最初の回。

カタギになることをかなり真剣に考えつつも叶わなかったという点では、これ以降の第5作「男はつらいよ 望郷篇」や第32作「口笛を吹く寅次郎」あたりに次ぐ切ない回かも。


● 今作から、寅さんとマドンナとの成り行き以外にもうひとつのサブ的な恋愛ストーリーが組み込まれるように

「男はつらいよ」シリーズは、寅さんとマドンナとの展開以外に、同時進行でもう一組のカップルの恋愛ストーリーが組み込まれているパターンが大半と言ってもいいぐらい、非常に多い。
この第3作では、マドンナの大学生の弟(河原崎建三)と芸者(香山美子)という若いカップルのストーリーが作品に膨らみを持たせているが、こうしたサブストーリーが取り入れられたのはこれが最初。

寅さんとマドンナ、マドンナの本命の男性という三角関係もお馴染みのパターンだが、これは最初からなので(笑)
(第1作のさくらと博の一連の成り行きも恋愛サブストーリーに当てはまる気もしますが、寅さんのあまりに身近な身内案件なので例外とさせていただきました。)


● 渡世人仲間への仁義や義理立てを忘れない寅さん。哀れと人情を感じるシーンもこの第3作から

寅さんが好きになったマドンナの弟の彼女は芸者だが、病気で身体が不自由になった父親にお金がかかることから、金持ちに買われる決意をする。
実はその父親は仲間内ではその名を知られた元渡世人で、それを知った寅は見る影もなく衰えた老人の前で仁義を切る。

「男はつらいよ」にはこのように、現在の境遇如何に関わらず、寅さんが(元)同業者に対して仁義を切ったり義理立てを行ったりするシーンが以降も何度か登場するが、それも最初はこの第3作。
病身であったり旅先の宿で亡くなっていたりとあまりに寂しい同業者の末期が明るみになるシーンは、そのまま寅自身の哀れさと孤独をも浮かび上がらせる。寅さんの律儀で純粋な心根に胸を打たれる個人的にはとても好きなシーンです。



さて次は、シリーズ第4作から始まったおなじみの「恒例シーン」を挙げてみましょう。



(松竹チャンネル/SHOCHIKUch)


第4作「新・男はつらいよ」 1970(昭和45)年公開


● 寅さんがとらやに帰ってきた時の「小芝居」シーンは第4作から始まった!

旅に出ていた寅さんが久々に柴又のとらやに戻ってくるシーンは、毎度おなじみのシーンだが、この時の寅さんと、さくら達家族双方の滑稽な小芝居シーンが始まったのは、この第4作から!


● 寅さんが長旅から戻ってきた時の、源公を始めとする柴又の町のみんなの騒ぎ・盛り上がりも第4作から

寅さんととらや一家双方のナイーブな(?)小芝居とともに、寅さんが柴又に帰ってきた際の恒例と言えば、帝釈天の寺男・源公の触れ回りシーン。
「寅が帰ってきた〜!」と帝釈天の門前の商店街の皆に大声で知らせ、走り回る。それを聞いた町内の皆も盛り上がりひと騒ぎするというこのシーンも第4作が最初。

この触れ回りシーンほどおなじみではないが、美人のマドンナに夢中の寅の様子を見た源公が口元を押さえて「イヒヒヒ(*≧∇≦)」笑いをするのも今作から。

源公の触れ回りシーンを見るたび、なぜか心躍る私(笑)ストーリーに大きく影響を及ぼす人物でもないし毎回これ以外にもしょうもないことばっかりしていますが(笑)、源ちゃんがいるのといないのとで作品のムードが変わってくる気がします。



● 寅さんの失恋や不器用さを哀れんでさくらが涙をこぼすのは、今作から

マドンナとの恋が成就せず、結婚して家庭を持つ夢が絶たれた寅に涙をこぼすさくら。寅の人並みに生きられない不器用さに思わず涙をこぼすさくら。
毎回必ずというわけではないが、妹のさくらが兄の寅さんに対して哀れみの涙を流す場面は「男はつらいよ」ではおなじみであり、中には名シーンとされるシーンも。そんなさくらの涙のシーンも今作から始まりました。

寅さんに対しての怒りと情けなさで涙が出る、というのだったら第1作から既にあったような気も・・(見合いの席を滅茶苦茶にされるので^^;)


● 第4作が最初!マドンナの心の傷や悲しみが、寅さんをはじめとするとらや一家との団らん・交わりによって癒される温かな定番シーン

わだかまりから疎遠になっていた父の急逝を知り、後悔し悲しむ第4作のマドンナ、春子先生(栗原小巻)。
寅さんらの優しさに心癒され、春子の顔に笑顔が戻る・・。

悩みや悲しみを抱えたマドンナが寅さんはじめとらや一家との団らんや交わりの中で、明るさや元気を取り戻していくのは定番の展開で、最初はこの第4作でした。
寅さんとだけの関わりではなく、とらやの皆と温かい交流が生まれるからこそ、マドンナはのちに再びとらやを訪れたりできるんですよね。
とらやのお茶の間での団らん(あるいは騒動)シーンは、他の意味においても作品においてかなり重要シーンだと思っています。





☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


昨年秋から今年の1月にかけて、寅さん全作品を映画館もしくはDVDで鑑賞していた間、

987-55寅さん感想ノート2 987-55寅さん感想ノート3

こんな感じで、日々、観賞記録をつけておりました。マメでしょ、ブログはなかなか更新しないのに(笑)
この記録をつけているノートは、

987-55寅さん感想ノート1


ハイ、10年ほど前に「ルパン三世展」でgetした不二子ちゃんのノートです


今日取り上げたような初期作品は11月初旬にDVDで観ましたが、映画館で第32作以降の作品を10作以上観賞した後だったこともあり、第3作・第4作がシリーズのエポックとなる作品であったことがよくわかりました。
この2つの作品でシリーズの基本的な「ひな形」がほぼ出来上がった印象があります。

最初にも書きましたが、興味深いのはシリーズを通じてこの2作品だけが山田洋次監督作品ではなく、脚本に専念されているということ。
元々は次の第5作でシリーズを終わりにする予定だったらしく、それを考えると、不思議な綾といいますか成り行きだなあと感じますね。
第3作・第4作は、私はじめ多くのファンが推すいくつかの人気作品に比べると決して目立つ作品ではないのですが、その後長期に渡る人気シリーズとなっていく上では実は非常に大事な役割を果たした作品であると考えます。

また、第1・2作では1960年代の喜劇映画を彷彿とさせるセンスやテイストが随所で感じられますが、第3作からはそうした要素も影を潜めて、オリジナリティー溢れる寅さんワールドへと進化したようにも見えます。
第2作までがギリギリ60年代の公開で、ちょうど第3作からが70年代の公開です。


次回は、また別の視点から「寅さん」を考察してみようと思います
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Re: タイトルなし
勇蔵さん、お久しぶりです!
そしてなんと、今、寅さんをご覧になっているところだったんですね!

>ちなみにここまでの小生の第1位は・・・
>2作目の「続 男はつらいよ」ですね~
>これ抜群に脚本が良いと思うんですけど~

東野英治郎さん扮する先生が江戸川のうなぎが食べたいと言って、寅が取りに出かけて帰ってくると、亡くなっていたのがジーンと来ました。先生も最後に、寅さんに会いたかったのかな・・・。

先の記事でも書いていたように、私のベスト3は例の3作品ですが、「寅次郎恋歌」はベスト8には確実に入ります、私もi-80
寅さんてなんやかんや言ってもある意味ではすごく自分のことをわかってるし先が見えるから、自分から身を引くんですよね。それが感じられて、切ないなあと思いました。志村喬さんもいいですよね。
次回、寅さんに出てくる好きなセリフについて書こうと思っているんですが、ここでの志村喬さんのセリフも入るかも。


>おいちゃん役は初代の森川信さんが最高ですね!
>まだ、11作目なんで下條さんが出てきてないけど、
>寅さんとの掛け合いに関しては
>やっぱ、森川さんだなあ~イチ押しは・・・

森川さんは歴代の中で最も軽口がうまいしそれが持ち味になっていますよね^^
寅さんと対等に掛け合いができる、私も二人のシーン好きですよ。途中で亡くなられたのが本当に残念です。
下條さんはいつもやれやれと呆れ果ててる感じ。掛け合いという感じにはならないけど、あれはあれで持ち味ですね^^


傷だらけの天使、見られたんですか〜?!もしかしてU-NEXTですか?
私も昨年ぐらいからずっと見たいなあと思っているんですが・・・無料配信期間使って全部見ようかな笑
[ 2021/05/06 13:26 ] [ 編集 ]
またまた、ご無沙汰でやんす。

いやー、嬉しいですね!

巣ごもり生活、絶賛継続中でサブスクで

まずは「傷天」をコンプリート!

それで、今は「男はつらいよ」コンプリートを目指して

見始めたところで、久々にマナサビイさんを訪れたら

ドンピシャの記事でした!

只今、11作目の「寅次郎忘れな草」まで来まして

やっとリリーが出てきたところです。

ちなみにここまでの小生の第1位は・・・

2作目の「続 男はつらいよ」ですね~

これ抜群に脚本が良いと思うんですけど~

続いて「純情編」「寅次郎恋歌」ですかね

でも「忘れな草」のリリーの哀愁もよかったなあ

名作の誉れが高い15作目、17作目まで

まだまだですが、非常に楽しみです。

ただ、おいちゃん役は初代の森川信さんが最高ですね!

まだ、11作目なんで下條さんが出てきてないけど、

寅さんとの掛け合いに関しては

やっぱ、森川さんだなあ~イチ押しは・・・
[ 2021/05/05 16:11 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
あめしすとさん、コメントありがとうございますi-237

>この頃の寅さんは、身体の調子もあまりよろしく
>なかったのでしょうね

確かにそれもあったみたいですね。ご病気の影響もあって無理がきかず、ますます満男くんがカバーするためにメインになっていったこともあったのでしょうね。ラストの方は体の動きも本当に少なくなって、だいぶ調子が悪かったんだろうなというのが見ていてよくわかりました。
満男くんがメインの作品も、寅さんが心のこもった名言を発したりして見せ場はあるんですが、寂しい感じがどうしてもあって。年齢的にも仕方ないことだったとは思いますが・・。


ノート、いいでしょ^^ この不二子ちゃんはテレビの1stシリーズの不二子ちゃんなんですよね。
もう10年前になるでしょうか、ルパン三世展ではこのノートとカリオストロの城の名場面を切り取ったポストカードを何枚か買いましたi-80
あ、そういえばブログにも書いたような! ありました→ https://manasavvy.blog.fc2.com/blog-entry-254.html
先月、1stシリーズから作画監督などを務めておられた大塚康生さんが亡くなられて残念でした。
[ 2021/04/30 17:58 ] [ 編集 ]
こんばんは

私も初期から中期のころの寅さんの作品は
凄く面白くて好きでした。
終盤はみつお君が主役?のような感じの作品に
なってた?
寅さんはいつ出てくるのかなー?なんて、首を
長くして観ていた記憶があります^m^
この頃の寅さんは、身体の調子もあまりよろしく
なかったのでしょうね

不二子ちゃんノート可愛いですね(^-^)
ルパン三世展っていうのがあったのですね
[ 2021/04/29 23:29 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
たいやきさん、長々と書いた記事を読んでくださってありがとうございます!

>僕は後半の寅さんしか知りませんが、寅さんが恋をしないとちょっと違うぜという気持ちになります。

終盤の方の作品は甥っ子のミツオくんの恋愛ストーリーがメインでしたよね。それも悪くはないけど、私もやはり寅さんが恋をする初期〜中期のころの作品が好きです。


>まっすぐ実家に帰れる寅さんなんて寅さんじゃない。
>そんな風に思っています。

なんて味わいのあるコメント!! そうです、そうなんですよね。
寅さんて、実はものすごく謙虚な人。フーテンであることを心の中では恥じ入っているんですよね。図々しく開き直っているわけではない。
そういう人間味がああいう家族への「小芝居」にも表れるんでしょう。寅さんの最も愛すべき部分であるかもしれません^^

[ 2021/04/29 19:18 ] [ 編集 ]
寅さんは回を重ねるごとに寅さんになっていったのですね。
映画なのに人間のように成長していくのは面白いです。
長く続き、愛されたシリーズだからこそ、前作で好評だった部分が、自作以降に投影されていったのでしょうね。
そして、みんなが思う寅さんになった。
僕は後半の寅さんしか知りませんが、寅さんが恋をしないとちょっと違うぜという気持ちになります。
寅さんは、柴又に素直に帰ってこない動きもあってしかるべきだと思います。
まっすぐ実家に帰れる寅さんなんて寅さんじゃない。
そんな風に思っています。
[ 2021/04/29 10:57 ] [ 編集 ]
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マナサビイ

Author:マナサビイ
昭和40年代生まれ。大阪在住。
前身のブログを始めた2007年より一貫して昭和のカルチャーやプロダクト、個人的な想い出などのテーマで書き続けています。
ブログの内容からか男性と間違われる事が多々ありますが、女性です。
小々石 曲允子の名で、昭和文化愛好家、神秘の杜ナビゲーターとして取材執筆も行っています。

旅先でのフィルム写真の撮影、神社仏閣や古代史などのトピック、野球観戦、2時間サスペンスの再放送視聴なども好き。

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